お絵かきの時間
グルグル、シュッシュッ、サササッ、グリングリン。白い紙にクレヨンを走らせると、線が現れる、色が現れる、かたちが現れる......。小さい子はたちまち、お絵かきに夢中になります。
なぐり描きから始まって、かたちをつくれるようになり、好きなものを見よう見まねで描いては「ほら見て、ママ、お花描いたの、上手でしょ」と見せてくれる。「ホントだ、上手ねえ。もっと描いて」の言葉で、誇らしげに輝くこどもの顔を見ていると、「ああ、この気持ちのままでずっといられたら、誰もがアーティストになれるのになぁ」と思います。
絵を描いて待っていてね、と言うとおとなしくずっと描いているので、息子とのお出かけにはお絵かきセットが必需品です。7歳になる彼のブームは、乗りもの→色遊び→恐竜→迷路→魚、と不思議な変遷をとげてきましたが、あるとき、あまりにも上手に恐竜を描けているので驚くと、図鑑を描き写したのだと言います。もっとリアルに描きたいと思って編み出した彼なりの方法が、模写なのでした。で、そこに独創性もちゃんとあるのです。
そうやって、全力で描いたこどもの絵にはかなわないな、と思います。
自分も、こどもの頃には全力で絵を描いていたはず。でも、絵に成績が付けられるようになっておもしろくなくなったり、他に楽しいことを見つけたりして、離れていきました。そして今、「絵を描くことが好き」を続けたアーティストの作品に、すごいな、かなわないな、と心から思います。全力でつくられたアートを観ることが、私のライフワークになりました。
だからこそ、大切に見守っていきたい、我が子のお絵かきの時間。それはきっと今だけの特別な時間に違いない、と思うのです。
